垂直入射
【撮影目的】
骨折、病変、関節腔異常など。
膝蓋骨大腿関節腔と脛腿関節の観察。
【撮影前の確認事項】
障害陰影となるものを外す。
膝蓋骨の骨折の有無。骨折している場合は膝関節を10度以上曲げてはならない。
【ポジショニング】
検側を下にした側臥位。
検側の膝関節を軽度屈曲し、120-130°にする。
非検側の下肢を検側の前に出す。
検側の足関節の下にクッションを入れ、膝蓋骨の先端と腓骨外果を同じ高さにする。(下腿を上げると、外旋してしまう患者がいる。その場合は下腿挙上の不足分をX線入射方向で補う。尾頭方向に斜入射。入射点は内側顆より2cm下)
大腿骨内側顆・外側顆を結ぶ線をフィルムに垂直にする。
膝蓋骨をフィルムに垂直にする。
【X線入射点・撮影距離・照射野】
入射点:膝蓋骨下端と膝裏を結ぶ線の中点に垂直入射。
撮影距離:100cm
照射野:大腿骨遠位1/3~下腿近位1/3を含む範囲、左右は皮膚面まで絞る。
【撮影条件】
55kV / 5mAs
グリッド ( – )
【画像・チェックポイント】
正常例(Radiopaedia)
大腿骨内側顆と外側顆が重なっているか。ずれの合格基準は<7mm。
前後にずれている場合は外旋・内旋が不適切であり、上下のずれは内転・外転(X線を斜入射する方法でも可)が不適切。
ずれの修正には大腿骨内側顆と外側顆の見分けが必要。
・内側顆はC型で外側顆は0型
・内側顆は外側顆よりも大きい
・外側顆にはLateral Notchがある(動画)
・内側顆には内転筋結節がある
・腓骨が脛骨から離れている(外旋し過ぎている)場合、外側顆が内側顆よりも後方に投影される
大腿膝蓋関節が広く観察される。
骨組織、骨梁に加え膝関節周囲の軟部組織や脂肪が観察可能な寛容度。
剥離骨折の起こりやすい場所 を確認。
軟部組織、脂肪組織が明瞭に観察できること。
【動画】
【関連資料】
内側顆・外側顆がずれた場合の修正
膝外側が浮いてしまう場合の対応(p10-11)
水平入射
【撮影目的】
通常の正面・側面撮影で骨折線が確認できなくとも、水平方向から投影した側面像で関節脂肪血症が認められれば、関節内骨折の診断が可能。
関節液は、骨折・膝内障・感染・関節炎などでみられる。
大量の液体貯留によって膝蓋上嚢が拡大し、隣接する脂肪組織を圧排・消失させる。
【撮影前の確認事項】
障害陰影となるものを外す。
膝蓋骨の骨折の有無。骨折している場合は膝関節を10度以上曲げてはならない。
【ポジショニング】
仰臥位。
検側の下肢を上方に上げ、膝関節を120-130°に屈曲する。
大腿骨内側顆・外側顆を結ぶ線をフィルムに垂直にする。
膝蓋骨をフィルムに垂直にする。
【X線入射点・撮影距離・照射野】
入射点:膝蓋骨下端と膝裏を結ぶ線の中点に垂直入射。
撮影距離:100cm
照射野:大腿骨遠位1/3~下腿近位1/3を含む範囲、左右は皮膚面まで絞る。
【撮影条件】
55kV / 5mAs
グリッド ( – )
【画像・チェックポイント】
関節内骨折(Radiopaedia)
脛骨骨折(Radiopaedia)
膝関節側面撮影(垂直入射と同様)
【動画】
【関連資料】
fat-fluid levelを形成するまでの過程
水平入射(重力ストレス撮影)
【撮影目的】
自重(重力)による下腿の後方落ち込みを観察する。
後十字靭帯損傷の評価。
【撮影前の確認事項】
障害物となるものを除去する。
【ポジショニング】
体位は膝関節側面撮影(水平入射)と同様だが、
検側の股関節を45°または90°屈曲する、膝は90°屈曲する。
【X線入射点・撮影距離・照射野】
入射点:膝関節尖と膝裏を結ぶ線の中点に向けて水平入射。
距離:100cm
照射野:大腿骨遠位1/3~下腿骨近位1/3、および皮膚面を含む範囲に絞る。
【撮影条件】
50kV / 5mAs
グリッド ( – )
【画像・チェックポイント】
正常例:https://ars.els-cdn.com/content/image/1-s2.0-S074980630025994X-gr1b.jpg
膝関節側面撮影(垂直入射)と同様。
左右が対称に投影されていること。
【動画】
【関連資料】