【撮影目的】
肘頭突起を側面から観察する。
Radiocapitellar line、 Anterior humeral line 、 fat pad sign を確認する。
90度屈曲するとfat padが圧迫されずに適切に評価できる。もし、部分伸展/完全伸展ではfat padが上方に圧排され、病変と誤診する可能性もあるので注意。
【撮影前の確認事項】
障害陰影となるものを除去する。
検側がどちらか確認する。
【ポジショニング】
座位とする。
上腕ー肘関節ー手関節を肩の高さまで上げる。
肘関節を90度に屈曲する。
手関節を5度上げる。Carry angleが大きい患者ほど挙上する角度を大きくする。
救急など座位が難しい場合は、背臥位でX線を水平方向に入射する。
【X線入射点・撮影距離・照射野】
入射点:上腕骨小頭に向けて垂直入射。
※上腕骨小頭は外側上顆から前方・内側方向(45度)に1横指のところにある。
撮影距離:100cm
照射野:上腕骨遠位1/2~前腕骨近位1/2を含む範囲
【撮影条件】
50kV / 4mAs
グリッド ( – )
【画像・チェックポイント】
正常例(Radiopaedia)
症例(脱臼)(Radiopaedia)
症例(橈骨頭骨折)(Radiopaedia)
上腕骨上顆 が重なって投影されていること。
骨組織に加え膝関節周囲の軟部組織や脂肪が観察可能な寛容度(fat pad signが観察できるよう)。
→ 脂肪層の変位(脂肪体徴候:fat pad sign)は骨折を示唆する
【動画】
【関連資料】
肘関節における前方fat padの正常像と前方fat pad sign(関節内血種、水腫陽性像)
上腕骨顆上骨折
fat pad sign
1.前脂肪体徴候陽性:関節液貯留が見られ、関節内骨折が疑われる。
2.後脂肪体徴候陽性:関節液が大量に貯留している。より強く関節内骨折が疑われる。(正常例では見えない脂肪層)
3.脂肪体徴候陰性:骨折を否定することはできない。
3つの同心円(内側:滑車溝、中間:上腕骨小頭、外側:上腕骨滑車)とそれを囲う尺骨滑車切痕が観察できれば、正しい側面といえる。( Fig.6-3 )
橈骨が上腕骨に重なっていれば、手首を上げすぎ。
橈骨が上腕骨から離れていれば、手首の挙上が足りない。
橈骨頭骨折の判断
橈骨近位の中心線は,上腕骨小頭を通過する。この線が上腕骨小頭から外れた場合,橈骨頭脱臼である。(Radiocapitellar line)
顆上骨折の判断
上腕骨前縁に沿って引いた線よりも前方に上腕骨小頭の1/3以上が存在すること。そうでなければ、遠位骨片の後方転位を伴う顆上骨折が示唆される。骨折が明らかなときは、前上腕骨線は後方転位の程度を評価するのに役立つ。(Anterior humeral line)(Anterior humeral line)