今回はDICOM閲覧およびフォーマット変換に便利なソフトウェアを紹介します。
DICOM viewerには様々なソフトウェアがあります。ImageJ, amide, OsiriX, … それぞれ出来ること(得意なこと)や出来ないこと、無料のものや有料のものがあります。
今回は3D表示に優れるソフトウェアであるPRO SURGICAL 3Dを紹介します。
名前にPROと書いてありますが、viewerの機能であれば無料で使えます。ただ、segmentationの機能は有料で提供されています。
ではダウンロードから使い方まで説明していきます。
ダウンロード
ダウンロードには会員登録が必要です。このサイトにアクセスすると以下のような画面が表示されます(2024/3/31時点)
中段左側のREQUEST ACCESS TO PRO SURGICAL 3D TO DOWNLOADをクリックします。すると、下のようないくつかの入力フォームが表示されますので、記入してSUBMITを押します。
すると登録に記載したメールアドレス宛に2通のメールが来ます(下図)。ひとつはダウンロードのリンク、もう一つはパスワード変更用のURLです。
ダウンロード後、インストールします。迷うところはありませんので省略します。
起動
ソフトウェアを起動すると以下のような画面が表示されます。
図にあるように、起動するたびにEmailとPasswordを入力する必要があります。
ログインできたら下のようなウィンドウが表示されます。
まずは左側のタブでPatientを選択します。
次に機能を選択します。「Load DICOM from My Computer」と「Convert Image Files」の使用頻度が高いと思いますので、今回はその2つの機能について説明していきます。
Load DICOM from My Computer
BrowserでDICOM画像が格納されているフォルダを開きます。DICOM画像が見つかった場合には左側のウィンドウに表示されます。その行を選択するとStudy→Seriesと順番に選択していきます。最後にLoad Patientをクリックします。
※DICOM画像以外を開く場合にはLoad Non-DICOM from My Computerを選択してください。
画像のLoadが終わったらVolumeタブに移動します。Axi, Cor, Sag, 3Dのウィンドウが表示されますがクリックすることでお互いの位置を交換したり、一つの画面に拡大表示することができます。
操作方法は実際に使ってみればすぐにわかりますが、右側の (i) マークを押せばヘルプ機能が使えます。その他、視点のリセットや画像の保存、WL/WWの切り替えができます。WL/WWはプリセットから選ぶのみで、指定はできないようです。
Volumeタブで動かして閲覧するだけで十分な場合もあるかもしれませんが、表示する部位を制限したい場合には次のSurfaceタブやCroppingタブを使用します。
Surfaceタブでは右側に表示されたヒストグラムに閾値を設定することで3D表示を変更することができます。また、その表示状態でSTL形式など3Dモデルで保存したい場合は、右下のExport Surfaceを押して出力します。
Croppingタブでは断面を設定することで非表示にすることができます。他の組織で隠れていた部位の観察に適しています。下に表示されたAxi, Cor, Sagの画像に断面を設定します。
Croppingを適用する前の画像が上段左で、適用した後の画像は上段右に示されます。
Compareタブでは2つの画像を開いて比較することもできます。
Segmentationタブではセグメンテーションの機能が使えるようですが有料です。結構高いので個人では買えないでしょう。
Exportタブでは画像の出力ができます。この際、匿名化して出力することが可能です。
Supportタブでは開発者に対するリクエストなどが可能になっています。
あくまでviewerというレベルで、workstationにように複雑なcut機能もboolean処理も平滑化もできません。そのような処理が必要な場合には他のソフトを使用する必要があります。しかし、ImageJなどよりはよっぽど3D表示がしやすいです。
Convert Image Files
次は画像の形式を変換する機能です。この機能は非常に便利で、これを目的として使用することも多いです。変換する際に画像のスケール変更や単位変換なども可能です。
圧縮されたDICOM画像を非圧縮にすることができます。
PatientタブでConvert Image Filesを選択します。また、InputとOutputのフォーマットを選択します。選択できるのは以下の通りです。
Input format:
DICOM Files (*.dcm)
Nifti Files (*.nii)
Nifti Files Zipped (*.nii.zip)
Nifti Files Gzipped (*.nii.gz)
Segmentation Nifti Files (*.nii)
Segmentation Nifti Series (*.nii)
VTK Files (*.vtk)
VTK Files Zipped (*.vtk.zip)
VTK Files Gzipped (*.vtk.gz)
Optical Coherence Tomography (*.oct)
DICOS Files (*.dcs)
DICOS TDR Files (*.tdr.dcs; *.dcs)
JPEG Image Stack (*.jpg; *.jpeg)
PNG Image Stack (*.png)
TIFF Image Stack (*.tiff; *.tif)
ProSurgical3D Segmentation Files (*.proseg)
Hierarchical Data Format (*.hdf5; *h5)
ITK Meta Image (*.mha)
Volume Graphics Format (*.vgi)
Nearly Raw Raster Data (*.nrrd)
Output format:
Nifti Files (*.nii)
Nifti Files Zipped (*.nii.zip)
TIFF Files ( *.tiff; *.tif)
DICOS Files (*.dcs)
DICOM Files (*.dcm)
Hierarchical Data Format (*.hdf5; *.h5)
ITK Meta Image (*.mha)
Volume Graphics Format (*.vgi)
Nearly Raw Raster Data (.nrrd)
このソフトウェアの良い点としては
・操作が直感的でわかりやすく3D表示が可能
・様々な形式に画像を変換できる
という点だと思います。
一方で、他のソフト(3D Slicerなど)と比べて機能が少ないためできることは少ないです。それらのソフトは操作が煩雑なので3Dをパッと見たい場合には、このソフトウェアを選択する余地があります。