【撮影目的】
アキレス腱・Kager’s triangleを観察する。
通常、アキレス腱は前後方向が6mm程度であるが、さまざまな要因により肥厚する。また、さまざまな機序により断裂する。家族性高コレステロール血症では血液中のコレステロールや中性脂肪が健常人よりも多く沈着するため肥厚する。従来、診断基準はX線撮影にて9mm以上であったが、2022年度版のガイドラインでは男性8mm以上、女性7.5mm以上となった。
Kager’s triangleとは長母趾屈筋・アキレス腱・踵骨上縁によって構成され足関節の後方に観察されるもので、内部に脂肪(Kager’s fat pad)が存在する。
アキレス腱自体の観察は通常、超音波検査やMRI検査で行うがそれらの診断機器を持たない施設において有用。
【撮影前の確認事項】
障害物となるものを除去する。
【ポジショニング】
※撮影距離、X線中心以外は足関節側面像と同様
側臥位または座位
下腿軸と足底を直角とする。
→背屈や底屈、内旋や外旋はアキレス腱の厚み測定に影響を及ぼすため再現性のある体位が重要
下腿とカセッテの軸を合わせる。
下腿軸を寝台と平行にする。
足底と下腿軸を垂直とする。
R/Lマーカーを配置する。
【X線入射点・撮影距離・照射野】
入射点:内果の後縁に向けて垂直入射。
距離:拡大を少なくするため120cm。または撮影距離100cmで鉛スケールをアキレス腱と同じ高さに配置する。
照射野:下腿骨遠位1/3を含む範囲に絞る。
【撮影条件】
50kV / 5mAs
グリッド ( – )
【画像・チェックポイント】
正常例 (右足が健側、左足が患側)
アキレス腱損傷
アキレス腱の部分断裂(右足)
アキレス腱の断裂
アキレス腱の断裂
Kager’s triangleの断裂
Kager’s triangleの損傷
アキレス腱・Kager’s triangleが明瞭に観察できること。
踵骨が過露光にならずに観察できること。
皮質、骨梁が明瞭に観察できること。
RLマーカーが入っていること。
動きによるブレがないこと。
【動画】
【関連資料】
総合健診(人間ドック健診)における脂質異常症診療
(旧版)アキレス腱断裂診療ガイドライン
「経験不足な検査に対する私なりのアプローチ」〜 ACS に対するアキレス腱撮影を通じて〜(p40)