立位(AP/PA)
【撮影目的】
イレウス、穿孔などをによるair-fluid levelsや腹腔内の遊離ガスの観察。
【撮影前の確認事項】
腎臓を主な目的とする場合はAP、そうでない場合は生殖腺被ばくを少なくするためにPAでの撮影を検討する。
腹腔内ガスの観察を目的とする場合は胸部PA撮影も有用。
照射野を半切サイズに合わせておく。
障害物となるものを除去する(チューブ、チャック、ボタンなど)。
立位が困難な場合は側臥位を検討する。
腹腔内の空気が横隔膜下まで移動するには数分かかる。寝たきりの患者を立位にしてすぐに撮影しても映らないこともあるため、5分程度待つ。
【ポジショニング】
カセッテに向かう、もしくはカセッテを背にした立位。
正中矢状面をカセッテ中心軸に合わせる。
冠状面をカセッテに平行にする。
半切サイズ(14×17インチ)の照射野上端を肩甲骨下縁に合わせる。
照射野のクロスライン(横)にカセッテ中心を合わせる。
両手を広げて体幹部から離す。
立位、RLマーカーを貼る。
【X線入射点・撮影距離・照射野】
入射点:カセッテ中心に向けて垂直入射。
撮影距離:100~150cm
照射野:上下は半切サイズ(17インチ)、左右は体表面まで絞る
【撮影条件】
70kV / 32mAs
グリッド ( + )
呼気停止。(完全な呼気停止の後、1秒待ってから曝射する)
【画像・チェックポイント】
正常例(Radiopaedia)
腸穿孔による腹腔内遊離ガス
上部に両方の横隔膜が観察でき、可能な限り下腹部を画像に含めること。右横隔膜の下にFree airが観察されることもある。
脊椎が画像中心に投影され、棘突起が椎体の中心に観察できること。
ブレがないこと。
【動画】
【関連資料】
臥位(AP)
【撮影目的】
異物、腫瘤、石灰化、ガスの確認。
骨盤、肋骨、腹腔内臓器(肝臓、腎臓、脾臓等)の観察。
【撮影前の確認事項】
照射野を半切サイズに合わせておく。
障害物となるものを除去する(チューブ、チャック、ボタンなど)。
【ポジショニング】
仰臥位。
正中矢状面をカセッテ中心軸に合わせる。
体のねじれがないように冠状面をカセッテに平行にする。
半切サイズ(14×17インチ)の照射野下端を大転子下に合わせる。
→照射野のクロスライン(横)はおおよそ腸骨稜~L3の高さとなる。
両手を広げて体幹部から離す。
臥位、RLマーカーを貼る。
【X線入射点・撮影距離・照射野】
入射点:カセッテ中心に向けて垂直入射。
撮影距離:100~120cm
照射野:上下は半切サイズ(14×17インチ)、左右は体表面まで絞る
【撮影条件】
70kV / 32mAs
グリッド ( + )
呼気停止。(完全な呼気停止の後、1秒待ってから曝射する)
【画像・チェックポイント】
画像の下端に恥骨結合上縁、画像の上端は少なくとも肝臓・腎臓の下部が投影されていること。
脊椎が画像中心に投影され、棘突起が椎体の中心に観察できること。
ブレがないこと。
大腰筋、腰椎の横突起、肋骨、肝臓、腎臓の辺縁が認識できること。
【動画】
【関連資料】
KUB(立位/臥位)
【撮影目的】
尿路系(腎臓、尿管、膀胱、尿道)の石灰化を確認するのに有効。
点滴静注腎盂造影(DIP) の際にも撮影される。
腹部臥位正面撮影との違いは腎臓~恥骨結合上縁を含めること、散乱線を低減し腎臓の輪郭を明瞭にするために照射野の左右を上前腸骨棘まで絞ることである。
【撮影前の確認事項】
照射野を半切サイズ(14×17インチ)に合わせておく。
障害物となるものを除去する(チューブ、チャック、ボタンなど)。
【ポジショニング】
仰臥位または立位。
→立位では遊走腎の診断などに有用
正中矢状面をカセッテ中心軸に合わせる。
体のねじれがないように冠状面をカセッテに平行にする。
半切サイズ(14×17インチ)の照射野下端を大転子下に合わせる。
→照射野のクロスライン(横)はおおよそ腸骨稜の高さとなる。
両手を広げて体幹部から離す。
臥位、RLマーカーを貼る。
【X線入射点・撮影距離・照射野】
入射点:カセッテ中心に向けて垂直入射。
撮影距離:100~150cm
照射野:上下は半切サイズ(17インチ)、左右は上前腸骨棘まで絞る
【撮影条件】
70kV / 32mAs
グリッド ( + )
呼気停止。(完全な呼気停止の後、1秒待ってから曝射する)
→体格が大きく腎臓上縁から膀胱下縁まで半切サイズに収まらない場合は2回に分けて撮影する、もしくは少ない呼気で停止する。
【画像・チェックポイント】
画像に左右の腎臓から恥骨結合上縁まで含まれていること。
照射野が体表面よりも絞られており、左右の腎臓が欠けていないこと。
脊椎が画像中心に投影され、棘突起が椎体の中心に観察できること。
ブレがないこと。
大腰筋、腰椎の横突起、腎臓の辺縁、膀胱が認識できること。
【動画】
【関連資料】
外尿道までを描出する(2回の撮影を行う)方法もある。