【撮影目的】
舟状骨を多方向から観察する。
【撮影前の確認事項】
骨折、脱臼が疑われる場合は無理に尺屈させないこと。
障害物となるものを除去する。
検側がどちらか確認する
【ポジショニング】
座位。
肩関節から手関節まで同じ高さとする。
前腕長軸とカセッテ長軸を合わせる。
解剖学的嗅ぎタバコ入れをカセッテ中心に合わせる。
掌・前腕をカセッテにつける。
1. 尺屈撮影:正面撮影から尺骨側へ最大屈曲する。舟状骨が他の手根骨から離れて投影される。
2. 正面PA撮影:正面撮影から尺骨側へ最大屈曲する。尺屈撮影の補完的な撮影法。脱力状態において舟状骨は掌側に傾斜(volar tilt)があるため近位に向けてX線を斜入射することで舟状骨の真の正面像となる。
3. 斜位撮影 :尺屈撮影から第1指を上げた45°の斜位。
4. 側面撮影:手関節側面撮影 に準ずる。手関節・前腕の外側をカセッテに付ける。橈骨、月状骨、有頭骨の位置関係から脱臼を評価する。
【X線入射点・撮影距離・照射野】
入射点:
1,3,4 : 解剖学的嗅ぎタバコ入れに向けて垂直入射。
2 : 解剖学的嗅ぎタバコ入れに向けて、近位に向けて15~30°で斜入射。
撮影距離:100cm
照射野:左右は皮膚面、上下は中手骨から橈骨遠位1/4まで含める。
【撮影条件】
50kV / 4mAs
グリッド ( – )
【画像・チェックポイント】
正常例(Radiopaedia)
骨折 (Radiopaedia)
骨折線が検出できるよう、ノイズの少ない高精細な画像であること。
軟部組織まで観察できる寛容度であること。
1. 尺屈撮影:舟状骨が他の骨と重なっていないこと。遠位橈尺関節が開いていること。
2. 正面PA撮影:舟状骨がわずかに伸びて投影され、他の骨と重なっていないこと。遠位橈尺関節が開いていること。
3. 斜位撮影:尺骨頭と橈骨遠位端がわずかに重なる。第3~5中手骨近位部も一部重なる。
4. 側面撮影:手関節が完全な側面であること。完全な側面とは豆状骨の手掌側縁が舟状骨ー有頭骨の手掌側縁の間に存在することをいう。
【動画】
【関連資料】
舟状骨は転倒時に手を付くことで頻繁に骨折する(FOOSH)。舟状骨骨折は手根骨骨折の70%を占める。
舟状骨骨折線を見逃し、適切な治療がされない場合には偽関節となり、最終的に関節症となる恐れがある。舟状骨骨折の治癒が難しい理由として血行の問題がある。 舟状骨は近位側に血管の栄養がない ため早く癒合する必要がある。舟状骨骨折を疑うのは、 解剖学的嗅ぎタバコ入れ に圧痛がある場合。
Fall onto an outstretched hand (FOOSH) とは?
すべての撮影において肩関節から手関節まで同じ高さとする。これは橈骨と尺骨が交差することを防ぎ、橈骨が短く投影されることを防ぐ。